2026年に開催されるミラノ・コルティナ冬季オリンピックは、美しいイタリアの街並みと雄大なアルプスを舞台にした最高のスポーツの祭典です。一生の思い出として「子供と一緒に本場の興奮を味わいたい」と考えている親御さんも多いのではないでしょうか。
しかし、冬のイタリアでのオリンピック観戦は、寒さ対策や会場間の移動、チケット事情など、事前の準備が成功の明暗を分けます。特に小さな子供を連れての移動は、日本国内での観戦とは勝手が異なる場面が少なくありません。
この記事では、オリンピック観戦を子供連れで楽しむための注意点について、イタリア編として詳しく解説します。事前の準備から現地の最新事情まで、家族全員が笑顔で過ごせるためのポイントをまとめました。
オリンピック観戦を子供連れで楽しむための基本と注意点(イタリア大会版)

イタリアで開催される冬季オリンピックを家族で楽しむためには、まず大会全体の構造を理解することが重要です。2026年大会は「ミラノ」と「コルティナ・ダンペッツォ」という離れた2つの拠点を中心に、広範囲で競技が行われます。
この分散開催という特徴が、子供連れの家族にとっては大きなポイントとなります。都市部でのアイスホッケー観戦と、標高の高い雪山でのスキー観戦では、準備すべき内容が全く異なるからです。まずは全体の流れを把握しましょう。
会場が分散するイタリア大会の特徴を知る
今回のイタリア大会は、複数の地域に会場が分かれているのが最大の特徴です。開会式が行われるミラノ市内ではフィギュアスケートやアイスホッケーが行われ、一方で雪上競技はコルティナ・ダンペッツォやボルミオといった山岳地帯で開催されます。
子供連れの場合、すべての競技を網羅しようとすると移動だけで体力を消耗してしまいます。拠点を一つに絞るか、移動日を十分に設けるスケジュールを立てるのが賢明です。ミラノから山岳部までは車や列車で数時間かかることを念頭に置いてください。
また、山岳エリアは道が険しく、冬場は積雪の影響も受けやすいため、予定通りに進まないこともあります。余裕を持った計画が、子供の機嫌を保つためにも不可欠です。都市の利便性と大自然の過酷さの両面を想定しておきましょう。
チケット購入と子供の年齢制限・料金体系
オリンピックのチケットは、競技や会場によって子供料金の設定が異なります。一般的に、一定の年齢以下の子供は膝上鑑賞であれば無料になるケースもありますが、安全性の観点から「1人1席」の購入を強くおすすめします。
特に屋外競技の場合、長時間の立ち見や狭い座席での観戦は、子供にとって大きな負担となります。公式サイトでの販売情報をこまめにチェックし、家族全員がゆったり座れる席を確保しましょう。先行予約の段階で動くことが重要です。
また、イタリアのスタジアムでは、入場時に身分証明書の提示を求められることがよくあります。子供であってもパスポートの原本やコピーが必須となるため、忘れずに持参してください。転売サイトではなく、必ず公式サイトから購入しましょう。
競技スケジュールと子供の体力のバランス
オリンピックの競技時間は、世界中への放送枠に合わせて設定されるため、夜遅くに開始されるものも少なくありません。特に決勝種目は20時や21時からのスタートになることもあり、子供の就寝時間を大幅に過ぎてしまう可能性があります。
子供の生活リズムを優先するなら、日中に行われる予選や、比較的早い時間に終了する競技を選ぶのがコツです。例えば、午後の早い時間に行われるクロスカントリーやスノーボードなどは、比較的家族で観戦しやすい時間帯と言えます。
無理をして夜の試合を詰め込むと、翌日の体調不良やぐずりの原因になります。イタリア滞在中は「1日に1競技だけ」といった贅沢な時間の使い方を心がけると、親のストレスも軽減され、結果的に家族全員が楽しめるようになります。
子供連れ観戦のポイント
・会場の場所を事前に地図で確認し、移動時間を計算しておく
・チケットは公式プラットフォームで早めに確保する
・夜遅い競技は避け、昼間の競技を中心にプランを立てる
イタリア各地に点在する会場への移動と交通手段のコツ

イタリアでの移動は、日本のようにすべてが時刻表通りに進むとは限りません。特にオリンピック期間中は、世界中から観光客が集まるため、主要な交通機関は非常に混雑します。子供を連れての人混みは、想像以上に体力を奪うものです。
イタリアの公共交通機関を賢く利用し、ストレスを最小限に抑える方法を身につけましょう。都市部と山岳部では利用する乗り物も異なります。それぞれのメリットとデメリットを理解して、家族に最適な手段を選択してください。
ミラノから山岳エリアへの列車移動(トレニタリア・イタロ)
ミラノから地方都市へ移動する際は、イタリア国鉄(トレニタリア)や私鉄のイタロ(Italo)といった高速列車が便利です。座席指定ができるため、子供連れでも確実に座って移動できるのが大きな利点と言えます。
家族向けの「ファミリー割引」が設定されていることも多く、早めに予約すればリーズナブルに移動できます。車内にはトイレやカフェ車両もあり、長時間の移動でも子供が飽きにくい工夫がされています。チケットはアプリで管理するとスムーズです。
ただし、駅のホームは段差が多く、ベビーカーを持ち上げる必要がある場面も出てきます。大きなスーツケースがある場合は、荷物置き場の近くの席を予約するのがおすすめです。ミラノ中央駅などの大きな駅は、スリにも十分注意しましょう。
シャトルバスの予約と待ち時間対策
山岳部の会場へ向かう際は、最寄りの駅から大会専用のシャトルバスを利用することになります。このシャトルバスは、観戦チケットを持っている人のみが利用できる場合が多いですが、事前の予約が必要になるケースも想定されます。
バスの待ち時間は屋外になることが多いため、子供が寒さをしのげるように準備をしてください。また、バス内は暖房が効きすぎていて、外との温度差で体調を崩しやすいです。脱ぎ着しやすい服装を心がけ、すぐに水分補給ができるようにしましょう。
シャトルバスは混雑時に見送らなければならないこともあります。試合開始の2時間前には会場付近に到着できるよう、早めの出発が鉄則です。バスの中でのぐずり対策として、お気に入りのおもちゃや動画などの準備も忘れないでください。
雪道でのレンタカー利用と運転の注意点
自由度を優先してレンタカーを選ぶ家族もいますが、冬のイタリア、特にアルプス周辺での運転は難易度が高いです。雪道に慣れていない場合は、無理に自分で運転せず公共交通機関を利用することをおすすめします。
もし車を借りる場合は、必ずスタッドレスタイヤやチェーンの装着を確認してください。イタリアでは冬期、特定の道路でこれらが義務付けられています。また、山道は急カーブが多く、夜間は街灯が少ないため視界が非常に悪くなります。
さらに、会場周辺は一般車両の通行規制が行われることが一般的です。駐車場から会場まで数キロ歩く、といった状況も珍しくありません。車での移動を考えているなら、現地の交通規制情報を正確に把握しておく必要があります。
イタリアの高速道路「アウトストラーダ」は有料です。料金所での支払いはクレジットカードが便利ですが、念のため現金も用意しておくと安心です。サービスエリアのトイレは子供用が少ないため注意しましょう。
極寒の雪山で子供を守る!服装と持ち物のチェックリスト

イタリアの冬季オリンピック会場、特にコルティナ・ダンペッツォなどの山岳エリアは、日中でも氷点下になることが珍しくありません。じっとして観戦するスタイルは、体感温度をさらに下げ、大人以上に子供の体温を奪います。
「寒くて競技どころではない」という事態を避けるためには、プロ仕様に近い防寒対策が必要です。現地の気候を甘く見ず、万全の装備で臨みましょう。ここでは、子供連れの観戦で役立つ服装と持ち物のポイントを具体的に紹介します。
氷点下でも安心な「レイヤリング」の基本
冬の観戦において、厚手のコートを一枚着るだけでは不十分です。基本は、肌着、中間着、防風アウターの3層を重ねる「レイヤリング」です。肌着には吸汗速乾性に優れたウール素材や、高機能な発熱素材を選んでください。
子供は汗をかきやすく、その汗が冷えると一気に体温が下がります。こまめに背中を触って確認し、汗をかいていたら一枚脱がせるなどの調整が必要です。アウターは雪や風を通さない、しっかりとしたダウンジャケットやスキーウェアが最適です。
また、首、手首、足首の「3つの首」を冷やさないことが防寒の鉄則です。ネックウォーマーや厚手の靴下、防水性の高いスノーブーツを着用しましょう。特に足元からの冷えは強烈なため、靴下を二枚重ねにするなどの工夫も有効です。
意外と忘れがちな「日焼け」と「乾燥」対策
雪山は太陽の照り返しが非常に強く、冬であっても深刻な日焼けをすることがあります。特に子供の肌は弱いため、短時間の観戦でも顔が真っ赤になってしまうことがあります。曇っていても油断せず、子供用の日焼け止めを必ず塗りましょう。
さらに、イタリアの冬は非常に乾燥しています。空気が冷たく乾燥していると、喉を痛めたり肌がカサカサになったりしやすくなります。リップクリームや保湿クリーム、こまめな水分補給のための水筒は必須アイテムです。飴やトローチも役立ちます。
目を守るためのサングラスやゴーグルも忘れないでください。白い雪に反射する光は、大人が想像する以上に子供の目に負担をかけます。デザイン性よりも、しっかりとUVカット機能がついたものを選ぶようにしましょう。
待ち時間を快適にするカイロと座布団の活用
スタジアムや観戦エリアの座席は、プラスチック製や石造りのことが多く、座るとお尻から体温が逃げていきます。折りたたみ式の断熱座布団(クッション)があるだけで、快適さが劇的に変わります。軽量なものを人数分用意しましょう。
また、日本から持参したいのが「使い捨てカイロ」です。貼るタイプと手持ちタイプを使い分け、特に足の裏に貼るタイプは重宝します。イタリアでも一部で購入可能ですが、日本製の持続力と品質は世界最高水準ですので、多めに持っていくのが正解です。
競技の合間などの待ち時間は、子供がじっとしていられず動きたがることもあります。その際、体を動かして体温を上げさせるのも一つの方法ですが、転んで服が濡れてしまわないよう注意してください。着替えの予備をカバンに忍ばせておくと安心です。
イタリアならではの食事と宿泊で子供連れが意識すべきこと

イタリアといえば美味しい食事が魅力ですが、オリンピック期間中のレストランは予約でいっぱいです。また、イタリアの食事時間は日本よりも遅く、夜の営業が19時や20時からの店も多いため、子供の生活リズムに合わせるのが難しい場合もあります。
現地での食事や宿泊をスムーズに進めるには、少しの工夫と事前のリサーチが欠かせません。子供が食べ慣れたものを見つけつつ、イタリアらしい体験も取り入れる。そんなバランスの良い過ごし方をご提案します。
子供が大好きなピザ・パスタと現地のレストラン事情
イタリア料理は、ピザやパスタなど子供が好むメニューが多く、食事に困ることは少ないでしょう。しかし、本格的な「リストランテ」はドレスコードがあったり、子供連れを想定していなかったりすることもあります。
家族連れにおすすめなのは、カジュアルな「トラットリア」や「オステリア」です。これらのお店はアットホームな雰囲気で、店員さんも子供(バンビーニ)に優しいことが多いです。注文時に「塩分控えめで」と頼むなどの調整も相談に乗ってくれます。
また、ピザの切り売り店(ピッツァ・アル・タリア)は、短時間で食事が済ませられるため、観戦前後の忙しい時に重宝します。現地での食事は早めの時間を狙い、混雑を避けるのがポイントです。ピーク時は1時間以上待たされることも覚悟しましょう。
山岳エリアの宿泊施設「アグリツーリズモ」の魅力
宿泊先を選ぶ際、ホテルも良いですが、イタリアならではの「アグリツーリズモ」も検討してみてください。これは農家が営む宿泊施設で、広々とした自然の中で動物と触れ合えたり、自家製の食材を使った料理を楽しめたりします。
一般的なホテルよりも部屋が広く、子供が少々騒いでも気にならない環境が多いのが魅力です。コルティナ周辺の山岳エリアにも点在しており、オリンピックの喧騒から少し離れて家族でゆったり過ごすには最適な選択肢となります。
ただし、アグリツーリズモは中心部から離れていることが多いため、車がないと不便な場合もあります。送迎サービスの有無や、最寄りの会場へのアクセスを事前にしっかり確認しておきましょう。人気の施設は1年以上前から予約が埋まることもあります。
スーパーマーケットの活用と軽食の備え
イタリアのスーパーマーケットは、お惣菜やパン、フルーツが充実しており、子供連れの強い味方です。会場内での食事は高価で種類も限られるため、入場前にスーパーでパンやチーズ、飲み物を買い出ししておくのが節約と時短のコツです。
特に「パルミジャーノ・レッジャーノ」などのチーズは腹持ちが良く、栄養価も高いので子供のおやつに最適です。現地のジュースやヨーグルトも種類が豊富で、ホテルでの朝食や小腹が空いた時のためにストックしておくと非常に便利です。
注意点として、イタリアのスーパーは日曜日に閉まっていたり、昼休みがあったりすることがあります。大型店舗以外は営業時間が不規則なこともあるため、見かけた時にまとめて買っておく習慣をつけておきましょう。エコバッグの持参も忘れずに。
イタリアの水道水は飲める場所が多いですが、石灰分が含まれている硬水です。子供がお腹を壊すのが心配な場合は、スーパーで「ナチュラーレ(ガスなし)」のミネラルウォーターを購入するようにしてください。
会場内の設備と現地でのトラブル対策

いよいよ会場に到着しても、そこからが本番です。オリンピックの会場は非常に広大で、セキュリティも非常に厳重です。日本でのスポーツ観戦とは異なるルールや設備の制約があることを知っておかないと、現地で慌てることになります。
特に子供連れの場合、トイレの問題や持ち込み制限は死活問題になりかねません。会場に入る前にチェックしておくべき項目を整理しました。事前のシミュレーションをしておくことで、当日のトラブルを最小限に抑えることができます。
トイレの場所とベビーカー利用の可否
冬のオリンピック会場で最も困るのがトイレです。寒さで近くなる上に、仮設トイレは長蛇の列になることが予想されます。子供が「行きたい」と言ってから並んでいては間に合わないため、余裕を持って早めに済ませるのが鉄則です。
また、おむつ替えのスペースが確保されている場所は非常に限られています。多目的トイレがあるかどうかを会場マップで確認し、最悪の場合は人目に触れない場所でさっと替えるための大判のタオルや、携帯用のおむつ替えシートを持参しましょう。
ベビーカーについては、山岳会場の多くは雪道や砂利道のため、利用が極めて困難です。抱っこ紐をメインに考え、どうしてもベビーカーが必要な場合は、雪道走行が可能な大径タイヤのものを選ぶか、会場の預かり所に預ける前提で動きましょう。
セキュリティチェックの厳しさと持ち込み禁止品
オリンピック会場の入場ゲートでは、空港並みのセキュリティチェックが行われます。液体物の持ち込み制限や、バッグのサイズ指定などが厳格に定められています。子供用の飲み物や離乳食であっても、検査に時間がかかることがあります。
持ち込み禁止品の中には、自撮り棒や大きな旗、特定のサイズのバックパックなどが含まれることが多いです。事前に公式サイトの「持ち込み禁止リスト」を熟読しておきましょう。没収されてしまうと、その場で捨てるしかなくなります。
スムーズに通過するためには、荷物をできるだけコンパクトにまとめ、ポケットの中身を出しておくなどの準備をゲート手前で済ませておいてください。子供がいるからといって特別扱いはされませんので、余裕を持って列に並びましょう。
迷子防止対策とイタリアでの緊急連絡先
数万人規模の観衆が集まる会場で、最も怖いのが子供の迷子です。言葉の通じない異国の地での迷子は、子供にとっても親にとってもパニックの原因になります。対策として、子供の服の目立たない場所に連絡先を書いたタグを付けておきましょう。
また、迷子になった時の集合場所を具体的に決めておくのも有効です。子供が自分で説明できない年齢なら、名前、宿泊先、親の電話番号(国番号の+81を忘れずに)を記載したメモをポケットに入れておくか、リストバンド型の迷子札を利用してください。
万が一の怪我や病気に備え、イタリアの緊急電話番号(112番)や、近隣の病院、日本大使館の連絡先をメモしておきましょう。海外旅行保険への加入は必須です。クレジットカード付帯のものでも良いですが、子供の補償内容を事前に確認しておくことが大切です。
会場内での安心アクション
・入場直後に最寄りのトイレと救護室の場所を確認する
・持ち込み禁止品を確認し、不要な荷物はホテルに置いてくる
・子供には親の連絡先を書いたメモを持たせる
まとめ:オリンピック観戦を子供連れで成功させるための重要ポイント
イタリアでのオリンピック観戦を子供連れで成功させるために最も大切なのは、「徹底した防寒」と「余裕のあるスケジュール」です。冬季大会特有の厳しい寒さと、会場の分散というハードルをクリアするには、事前の入念な準備が欠かせません。
移動手段は座席指定ができる列車を優先し、雪山ではレイヤリングを基本とした服装で子供の体温を守りましょう。また、食事はイタリアのスタイルに合わせすぎず、スーパーなどを活用して子供のリズムを保つことが、家族全員の笑顔に繋がります。
イタリアの人々は一般的に子供にとても優しく、困った時には周囲の人が助けてくれる場面も多いはずです。現地のルールやマナーを守りつつ、世界最高のスポーツの祭典を家族で共有する時間は、何物にも代えがたい素晴らしい経験になるでしょう。
注意点をしっかりと押さえ、準備を整えて、2026年のイタリアで最高の思い出を作ってください。一生に一度かもしれない子供とのオリンピック観戦が、安全で楽しいものになることを心から願っています。

