アイスホッケーは「氷上の格闘技」と呼ばれるほど激しいスポーツです。選手たちが頑丈な防具を身にまとい、猛スピードでぶつかり合う姿は圧巻ですが、ふと「あの装備はどれくらい重いのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか。
本記事では、アイスホッケーの防具の総重量や各パーツの重さについて詳しく解説します。防具の重さを知ることで、選手の驚異的な身体能力や試合の迫力がより深く理解できるようになります。冬季スポーツ観戦をさらに楽しむための知識として、ぜひ役立ててください。
アイスホッケーの防具は総重量で何キロ?プレイヤーの重さを解説

アイスホッケーの試合を観戦していると、選手たちが非常に大柄に見えることがあります。これは、全身を固める頑丈なプロテクターの影響です。まずは、一般的なプレイヤーが身につけている防具の総重量がどれくらいになるのか、その全体像を見ていきましょう。
プレイヤーが身につける基本装備の合計重量
スケーターと呼ばれる一般のプレイヤーが身につける防具の総重量は、一般的におよそ10kgから15kg程度と言われています。これには、ヘルメットからスケート靴、さらにはスティックまで、試合に必要なすべての装備が含まれています。
10kg以上の重さを体にまとった状態で、氷上を時速40kmから50kmで滑走するというのは、想像以上に過酷な環境です。身近なもので例えると、大きな米袋1つ分以上の重さを背負いながら、全力疾走と激しいコンタクトを繰り返していることになります。
この重さは、選手の動きを制限する要因にもなりますが、それ以上に命を守るために欠かせない重みでもあります。硬いゴム製のパックや、鋭利なスケートの刃、そして選手同士の激しい衝突から身を守るために、これだけの重量が必要とされているのです。
ポジションや体格によって変わる重さの違い
防具の重さは、選手の役割や体の大きさによっても前後します。例えば、相手のシュートを体に当てて止めることが多いディフェンスの選手は、より強固で重い防具を好む傾向があります。一方で、スピードを重視するフォワードの選手は、可動域を広げるために軽量なモデルを選ぶことが一般的です。
また、選手の体格が大きければ大きいほど、防具のサイズも上がり、それに伴って使用される素材の量も増えるため、総重量は重くなります。プロレベルの大型選手になれば、装備だけで15kgを超えることも珍しくありません。
近年では素材の研究が進み、高い防御力を維持したまま軽量化されたモデルも増えています。トップリーグの選手たちは、自分のプレースタイルに合わせて、重さと守備力のバランスをミリ単位で調整しているのです。
ジュニア選手とシニア選手での防具重量の差
子供たちがプレーするジュニア世代では、防具のサイズ自体が小さいため、総重量も軽くなります。小学生くらいのジュニア選手であれば、防具一式の重さは5kgから8kg程度に抑えられていることがほとんどです。
しかし、子供の体重に対する防具の重量比を考えると、大人以上に負担を感じている場合もあります。成長に合わせて適切なサイズの防具を選ぶことは、技術の向上だけでなく、怪我を防ぐためにも非常に重要なポイントとなります。
高校生や大学生といったカテゴリーに上がると、体格が大人に近づくため、防具の重さもシニア選手とほぼ変わらないレベルになります。段階を踏んでこの重さに慣れていくことで、選手たちは力強い滑走を手に入れていくのです。
各パーツごとの重さをチェック!部位別の防具が果たす役割

アイスホッケーの防具は、全身を隙間なく守るために多くのパーツに分かれています。それぞれの部位がどれくらいの重さで、どのような役割を持っているのかを詳しく見ていくと、アイスホッケーという競技の特殊性が見えてきます。
以下の表は、一般的なプレイヤー用防具の各部位におけるおよその重量目安をまとめたものです。
| 防具の部位 | およその重さ(片足・単品) | 役割 |
|---|---|---|
| ヘルメット | 約0.5kg 〜 1.0kg | 頭部および顔面の保護 |
| ショルダーパッド | 約1.0kg 〜 2.0kg | 肩、胸、背中の保護 |
| エルボーパッド | 約0.5kg(両腕) | 肘の保護と接触時の緩衝 |
| グローブ | 約0.5kg 〜 0.8kg(両手) | 手首から指先の保護 |
| パンツ(下衣) | 約1.5kg 〜 2.5kg | 腰、太もも、尾てい骨の保護 |
| シンガード(レガース) | 約1.0kg 〜 1.5kg(両足) | 膝から下の脛(すね)の保護 |
| スケート靴 | 約1.5kg 〜 2.0kg(両足) | 氷上での移動と足首の保護 |
| スティック | 約0.4kg 〜 0.5kg | パックの操作とシュート |
氷を捉えるスケート靴とスティックの重さ
アイスホッケーにおいて最も重要な道具であるスケート靴は、両足合わせて1.5kgから2kg程度の重さがあります。一般のスケート靴に比べて、非常に硬いプラスチックやカーボンで覆われており、パックが当たっても足の骨が折れないような頑丈な構造になっています。
一方、スティックは驚くほど軽く作られており、最新のカーボン製であれば500gを切るものが主流です。片手でも軽々と扱える重さでありながら、シュートの際にはしなりを利用して凄まじいパワーを生み出します。この「軽さ」が、繊細なパックコントロールを可能にしています。
スケート靴の重みは氷を蹴る力に直結し、スティックの軽さは手の感覚を研ぎ澄ませます。これら足元と手元の道具は、選手のパフォーマンスに最も影響を与えるため、重さのバランスには細心の注意が払われています。
上半身を守るショルダーやエルボーの重量感
上半身を守る最大の防具であるショルダーパッドは、重さが1kgから2kgほどあります。肩の関節だけでなく、心臓のある胸部や脊椎を守るための厚いパッドが入っているため、装備したときにはずっしりとした重みを感じます。
エルボーパッド(肘当て)は、両腕合わせて500g程度と比較的軽量ですが、転倒時に肘を氷に打ち付けた際、その衝撃を完全に吸収する硬さを持っています。また、相手選手と競り合う際に腕を保護する役目も果たしており、欠かせない装備です。
これらの上半身の装備は、重さだけでなく「動きやすさ」との両立が求められます。腕を振り回したり、上半身をひねったりする動きを妨げないよう、重さを分散させるための立体的な設計が施されているのが特徴です。
下半身をガードするシンガードとパンツの重み
下半身の防具の中で特に重いのが、パンツとシンガードです。パンツ(ホッケーパンツ)は、腰回りから太ももまでを覆う大きなプロテクターで、重さは2kg前後あります。転倒した際に腰を打ったり、シュートが脚に当たったりするのを防ぎます。
シンガードは、膝から脛にかけてを保護するもので、左右合わせて1kg以上の重さがあります。ディフェンスの選手がシュートブロックをする際、最もパックが当たりやすい場所であるため、非常に頑丈に作られています。
下半身に重量のある防具が集中しているのは、重心を安定させるためでもあります。足元に一定の重みがあることで、氷上での激しい競り合いの際にも倒れにくい安定したスケーティングを生み出す助けとなっているのです。
ゴーリー(ゴールキーパー)の防具はどれくらい重い?驚きの総重量

アイスホッケーのポジションの中でも、圧倒的な存在感を放つのがゴーリー(ゴールキーパー)です。彼らは飛んでくる全てのパックを体で止める必要があるため、プレイヤーとは比較にならないほど巨大で重い防具を身につけています。
鉄壁の守りを支える巨大なレガースと胸部プロテクター
ゴーリーの防具で最も目を引くのは、脚を覆う巨大な「レガース(パッド)」でしょう。このレガースだけで、左右合わせて5kgから8kg近い重さがあります。プレイヤー用のシンガードとは比べものにならないサイズで、氷に膝をついてゴール下部を完全に塞ぐ役割を果たします。
さらに、胸部と腕を一体で守る「チェストプロテクター」も非常に重厚です。プレイヤー用のショルダーパッドよりも遥かに厚みがあり、時速150kmを超えるシュートを正面から受けても怪我をしないよう設計されています。これだけでも3kgから5kg程度の重量があります。
これらの装備は、単に重いだけでなく、ゴールの面積を物理的に塞ぐための「幅」も持たされています。ゴーリーが重装備をしているのは、防御力を高めるだけでなく、ゴールを小さく見せるという戦略的な意味も含まれているのです。
重厚なマスクとキャッチンググローブの重量
頭部を守るゴーリーマスクも、プレイヤー用とは構造が異なります。顔全体を完全に覆うFRP(繊維強化プラスチック)やカーボン製のシェルでできており、重さは1.5kgから2kgに達します。視界を確保しつつ、真正面からのシュートを弾き飛ばす強度が求められます。
また、手に持つ装備も特殊です。パックを掴むための「キャッチンググローブ」と、シュートを跳ね返す板状の「ブロッカー」は、それぞれ1kg以上の重さがあります。これらを常に構えた状態で、試合中ずっと集中力を維持しなければなりません。
手元の装備が重いということは、それだけ腕の筋力とスタミナが必要になることを意味します。ゴーリーは重い装備を自在に操り、コンマ数秒で反応してパックを止めなければならない、極めて高い運動能力が求められるポジションなのです。
ゴーリーが背負う約20キロ以上の装備の負担
これら全ての装備を合計すると、ゴーリーの防具の総重量は一般的に20kgから30kg近くに達します。これは、小学校低学年の子供を一人背負っているのとほぼ同じ重さです。この重量を抱えながら、氷上で激しく動き回り、時には飛び込んでシュートを防ぎます。
また、防具が重くて厚いということは、体温が逃げにくいというデメリットもあります。試合中のゴーリーは、凄まじい重量の防具の中で大量の汗をかきながら、60分間の激闘を繰り広げているのです。
観戦中にゴーリーがタイムアウトなどでマスクを外した際、顔から湯気が上がっていることがありますが、それはこの過酷な防具重量と運動量によるものです。彼らの献身的な守備は、この「20kg以上の重み」という試練を乗り越えて成り立っています。
【ゴーリー防具の驚きの重量ポイント】
・レガースだけでプレイヤーの防具セットの約半分に近い重さがある
・総重量は30kgに達することもあり、全スポーツの中でも屈指の重装備
・重さだけでなく、熱がこもりやすい構造が体力を激しく消耗させる
なぜこれほど重いのか?アイスホッケーの安全性を支える最新技術

アイスホッケーの防具がこれほどまでに重い理由は、第一に選手の安全を守るためです。しかし、ただ重くするだけでは選手の動きが鈍くなってしまいます。現代の防具には、重さと安全性のバランスを極限まで高めるための、科学的なアプローチが詰め込まれています。
時速150キロ以上のパックから身を守る衝撃吸収性
アイスホッケーで使用されるパックは、硬化ゴムで作られた非常に硬いものです。プロ選手のシュートスピードは時速150kmを超え、その破壊力は「弾丸」に例えられることもあります。この衝撃を素肌に近い状態で受ければ、当然ながら骨折や内臓損傷を免れません。
防具の重さの多くは、この衝撃を分散・吸収するための多層構造パッドによるものです。外側には硬いプラスチック製のシェルを配し、内側には特殊なフォーム(泡状のクッション材)を何層にも重ねることで、点ではなく面で衝撃を受け止める仕組みになっています。
この「厚み」と「密度」が必然的に重量を生みますが、これこそが選手が安心してプレーできる理由です。防具は単なる衣装ではなく、命を守るためのシェルターのような役割を果たしているといえます。
軽量化と強度の両立を実現するカーボン素材の進化
一方で、メーカーは1グラムでも防具を軽くするためにしのぎを削っています。近年では、宇宙開発や航空機にも使われる「カーボンファイバー」や、非常に軽量な「高密度ポリエチレン」などの新素材が積極的に導入されています。
例えば、昔の革製スケート靴に比べ、現代のカーボン製スケート靴は驚異的に軽く、それでいて強度は何倍にもなっています。防具が軽くなればなるほど、選手の加速力やスタミナの持ちが良くなるため、トップリーグでは常に最新の軽量防具が求められます。
「軽くて強い」という矛盾する課題を解決するための素材革命が、アイスホッケーのスピード化を支えているのです。今の選手たちが昔よりも速く動けるのは、トレーニングの成果だけでなく、防具の進化による恩恵も大きいと言えます。
重さを感じさせないフィット感と可動域の確保
防具の重量を感じにくくするためのもう一つの工夫が、人間工学に基づいたフィット感の追求です。重い荷物を手で持つよりも、リュックサックのように体全体に密着させて背負う方が軽く感じるのと同様に、防具も体の一部のようにフィットさせる設計が進化しています。
関節部分に蛇腹のような構造を持たせたり、体のラインに沿ったカーブをつけたりすることで、防具の重さが特定の部位に集中しないように工夫されています。また、通気性を向上させることで、汗による水分吸収での重量増加(防具が重くなること)を防ぐ工夫もなされています。
選手たちは、自分専用にカスタマイズされた防具を身につけることで、10kg以上の重量がありながらも、まるで何もつけていないかのようなスムーズな動きを実現しています。高度な設計技術が、重い装備とダイナミックな動きの共存を可能にしているのです。
近年の防具は「3Dスキャン」を用いて選手の体型を完璧に計測し、オーダーメイドに近い形で作られることもあります。これにより、さらなるフィット感の向上と軽量化が進んでいます。
防具の重さと選手のパフォーマンス!スピードを支える筋力の凄さ

防具の総重量が10kgを超えるということは、選手たちの運動能力がいかに超人的であるかを物語っています。観戦中、選手たちが軽快に滑っている裏側には、この重さをものともしない強靭な肉体が存在します。
重い防具をまといながら時速50キロで滑る脚力
アイスホッケー選手の脚力は、あらゆるスポーツの中でもトップクラスです。10kgから15kgの防具をつけ、氷の上という不安定な場所で、原動機付自転車に匹敵するスピードまで一気に加速します。この爆発的な推進力を生み出しているのは、太ももを中心とした下半身の強大な筋力です。
特に「スタートダッシュ」の際にかかる負荷は相当なものです。静止状態から重い防具を動かし始めるには、凄まじいエネルギーを必要とします。選手たちが一歩踏み出すごとに氷が削れる音が聞こえるのは、それだけの力が氷に伝わっている証拠です。
この重装備での高速滑走が、試合中の激しいボディチェック(体当たり)にさらなる破壊力を与えます。「重さ×速度」が衝突のエネルギーになるため、防具の重量は守備のためだけでなく、攻撃の力強さにも転換されているのです。
防具の重さに負けないためのトレーニングとスタミナ
選手たちはオフシーズンの間、防具の重さに耐えうるスタミナを作るために過酷なトレーニングを行います。単に筋肉を大きくするだけでなく、重い装備をつけた状態で3分近く全力運動を続けられる心肺機能が求められます。
実際の試合では、1回のシフト(出場時間)は1分前後ですが、その間は常に心拍数が最大に近い状態になります。防具の重みで呼吸が制限される中、激しい動きを繰り返すのは、陸上競技で言えばウェイトを背負って全力疾走を繰り返すようなものです。
そのため、陸上でのトレーニングでも「重り付きのベスト」を着用して走ったり、重いソリを引いたりする練習が取り入れられています。防具の重さは、選手にとって克服すべき壁であり、それを乗り越えた者だけが氷上のスピードスターになれるのです。
装備の軽量化が試合展開に与える影響
現代のアイスホッケーが昔に比べて格段にスピードアップしている大きな要因の一つに、やはり「防具の軽量化」があります。素材の進化によって選手一人ひとりの負担が減り、試合のテンポが速くなったのです。
防具が軽くなったことで、第3ピリオド(試合の最終盤)になっても選手のスピードが落ちにくくなりました。これにより、最後までスピーディーで逆転劇の多い、エキサイティングな試合展開が増えています。
また、軽量化は選手の怪我のリスクも軽減しています。体が動かしやすくなったことで、危険な衝突を回避しやすくなり、また疲労による集中力低下からくるミスも減っているからです。防具の重さの変遷は、そのままアイスホッケーの歴史の進化とも言えるでしょう。
アイスホッケーの防具の総重量を知って観戦をさらに楽しもう
アイスホッケーの防具の総重量や各パーツの重さについて解説してきましたが、いかがでしたか。選手たちが身につけているのは、単なるプロテクターではなく、最新技術の結晶であり、彼らの命を守る重厚な「鎧」です。
ここで、今回の内容を簡潔にまとめます。
・プレイヤーの防具の総重量は、およそ10kgから15kgに達する
・ゴーリー(ゴールキーパー)の装備はさらに重く、20kgから30kgにもなる
・各部位の防具は、時速150kmのパックや衝突から身を守るために頑丈に作られている
・最新のカーボン素材などにより、高い防御力と軽量化が両立されている
・選手たちはこの重装備をまといながら、凄まじい脚力で氷上を駆け巡っている
次にアイスホッケーを観戦する際は、ぜひ選手の「重み」を感じてみてください。あの巨体でこれほど速く動けるのはなぜか、これほど激しくぶつかっても平気なのはなぜか。その背景にある防具の重量と選手の努力を知ることで、氷上の熱戦がこれまで以上に面白くなるはずです。



