2026年に開催されるミラノ・コルティナ・ダンペッツォ冬季オリンピックに向けて、現地のグルメ情報に注目が集まっています。イタリアといえば美食の国として有名ですが、冬のアルプス山脈や洗練された都市ミラノで楽しむ食事は、また格別の味わいがあります。スポーツの熱狂とともに、現地の空気に触れながら楽しむ「食」は、観戦旅行をより豊かで忘れられないものにしてくれるでしょう。
特に冬の屋外観戦では、寒さを吹き飛ばしてくれるような温かい軽食や、手軽にエネルギーを補給できるストリートフードが欠かせません。この記事では、イタリアで開催される冬のオリンピックを120%楽しむために、現地でぜひ食べてほしい食べ歩きグルメを5つ厳選してご紹介します。伝統的な味から最新のトレンドまで、観戦の合間に楽しめる絶品情報をチェックしていきましょう。
イタリアならではの陽気な雰囲気と、冬の凛とした空気の中で味わう料理は、心も体も温めてくれるはずです。これから観戦計画を立てる方はもちろん、いつかイタリアを旅してみたいと考えている方も、現地の美味しい想像を膨らませながら読み進めてみてください。それでは、ミラノや山岳地帯の魅力が詰まったグルメの世界へご案内します。
イタリア 冬 オリンピック会場で楽しむ食べ歩きグルメの魅力

イタリアで開催される冬季オリンピックは、都市部のミラノと、美しい山々に囲まれたコルティナ・ダンペッツォという2つの拠点を中心に展開されます。この広大なエリアでは、それぞれの土地に根付いた多様な食文化が息づいています。観戦の合間にサクッと食べられるグルメは、移動の多いオリンピック観戦において非常に重要な要素となります。
開催都市ミラノと山岳地帯コルティナの食文化の違い
ミラノはイタリアを代表する経済とファッションの街であり、食文化も非常に洗練されています。ここでは洗練されたカフェや、伝統を現代風にアレンジしたストリートフードが豊富です。一方で、コルティナ・ダンペッツォやボルミオといった山岳地帯では、厳しい寒さを乗り越えるための素朴で力強い料理が中心となります。
山の料理には、チーズやバター、そば粉など、高カロリーで体を芯から温める食材が多用されるのが特徴です。都市部ではスマートに楽しめる軽食が人気ですが、山岳エリアでは焚き火のそばで頬張るような、温もりあふれるグルメが主役になります。この対照的な2つのエリアの味を一度に楽しめるのが、今回の冬季オリンピックの大きな魅力と言えるでしょう。
移動するごとに変化する景色とともに、その土地ならではの食材を使った料理に出会える楽しみがあります。ミラノの都会的な味わいと、アルプスの伝統的な味覚。その両方を体験することで、イタリアという国の奥深さをより深く知ることができるはずです。観戦ルートに合わせて、どのエリアで何を食べるか事前にシミュレーションしておくのも楽しいですね。
冬の屋外観戦で食べたい温かい軽食の選び方
冬季オリンピックの観戦は、氷点下に近い気温の中で長時間過ごすことが珍しくありません。そのため、食べ歩きグルメを選ぶ際は「温度」と「手軽さ」が非常に重要になります。片手で持てるサイズでありながら、しっかりと内側から熱を伝えてくれるような料理が理想的です。特にチーズがとろける揚げ物や、湯気の立つスープなどは観戦の強い味方になります。
イタリアのストリートフードは、注文してからその場で仕上げてくれるものも多く、常に出来立てを味わえるのが嬉しいポイントです。また、エネルギーを素早く補給できるよう、炭水化物と脂質のバランスが良いものを選ぶとスタミナが持続します。ナッツやドライフルーツを使ったお菓子も、ポケットに忍ばせておく非常食として人気があります。
さらに、イタリア人にとって食事はコミュニケーションの場でもあります。屋台のスタッフとのちょっとした会話や、同じメニューを食べている観客同士の交流も、現地ならではの醍醐味です。美味しさだけでなく、その場の活気や温もりも含めて楽しめるグルメを選ぶことで、観戦体験は何倍にも充実したものになること間違いありません。
地元っ子に愛されるストリートフードの探し方
観光客向けのお店も魅力的ですが、本当に美味しいものを探すなら地元の人々が列を作っている場所をチェックするのが一番の近道です。特にイタリアでは、路地裏にある小さなお店や、移動式のキッチンカーが驚くほど高いクオリティの料理を提供していることがよくあります。スマホの地図アプリだけでなく、実際に歩いて鼻をくすぐる香りを頼りに探してみるのも一興です。
また、現地の言葉で「ロカリ(Locali)」と呼ばれる地元の人に人気の店には、安くてボリューム満点のメニューが揃っています。SNSで流行っているお店も良いですが、代々続く老舗の味は、その土地の歴史を物語る特別な体験になります。特に冬の時期だけ提供される期間限定のメニューや、特定の祭日に食べる伝統菓子などは、見逃せない逸品です。
試合会場の近くには特設のフードエリアが設けられることも多いですが、一歩街中へ踏み出すと、さらに個性豊かな味に出会えます。店先に掲げられたメニューを眺めたり、地元客が何を食べているか観察したりすることで、隠れた名店を見つける楽しさが広がります。イタリア流の「美味しいもの探し」を、観戦の合間のスパイスとして楽しんでみてください。
1. ミラノの名物「パンツェロッティ」は外せない定番

ミラノで食べ歩きを楽しむなら、絶対に外せないのが「パンツェロッティ」です。これは、ピザ生地でモッツァレラチーズやトマトソースなどの具材を包み、油でカラッと揚げた、いわゆる「揚げピザ」のことです。外側はカリッとしていながら、中はふんわり、そして中から溢れ出す熱々のチーズは、冬のミラノを歩く人々の心を掴んで離しません。
揚げたてアツアツ!とろけるチーズの誘惑
パンツェロッティの最大の魅力は、なんといってもその食感のコントラストにあります。注文を受けてから揚げられる生地は、香ばしくキツネ色に輝いており、一口かじるとサクッとした小気味良い音が響きます。そして、その直後にやってくるのが、とろりと溶け出した濃厚なモッツァレラチーズの幸せな食感です。
シンプルな「トマトとモッツァレラ」の組み合わせが王道ですが、現地では生ハムやキノコ、さらにはリコッタチーズとほうれん草など、多様なバリエーションを楽しむことができます。どの具材を選んでも、揚げたての熱が素材の旨味を最大限に引き出しており、寒い冬空の下でも一口食べれば体中がポカポカと温まってくるのを感じるでしょう。
サイズ感も絶妙で、小腹が空いた時にちょうど良いボリュームです。片手で紙に包んで持って食べられるスタイルは、まさに究極の食べ歩きグルメ。ミラノの街並みを眺めながら、あるいは競技会場への移動中に、この黄金色の宝物を頬張る時間は、イタリア観戦のハイライトの一つになるはずです。火傷に注意しながら、その熱い美味しさを存分に堪能してください。
老舗店「ルイーニ(Luini)」で味わう本場の味
ミラノでパンツェロッティといえば、誰もがその名を挙げるのが、ドゥオーモ近くにある「ルイーニ(Luini)」です。1888年創業のこの老舗は、ミラノの人々にとってのソウルフードとも言える存在で、お店の前には常に長い行列ができています。しかし、回転が非常に早いため、少し待てばすぐに手に入れることができるので安心してください。
ルイーニのパンツェロッティが特別な理由は、門外不出のレシピで作られるその生地にあります。揚げているのに決して重たくなく、独特の甘みと風味があるのが特徴です。定番の揚げタイプだけでなく、焼きタイプのパンツェロッティもあり、よりヘルシーに楽しみたい方にも人気です。店内に入ると、ずらりと並んだパンツェロッティの壮観な眺めに、どれを選ぶか迷ってしまうことでしょう。
また、スイーツ系のパンツェロッティも充実しており、チョコやカスタードが入ったものは食後のデザートにもぴったりです。地元の学生からビジネスマン、そして世界中から訪れる観光客まで、あらゆる人々が同じ紙袋を持って幸せそうに食べている光景は、ミラノの冬の日常風景です。この歴史ある味を体験せずして、ミラノの食べ歩きは語れません。
観戦の合間にサクッと食べられる手軽さ
オリンピック観戦中は、次の試合の開始時間が迫っていたり、電車の時間が決まっていたりと、ゆっくりレストランに座っている時間が取れないことも多いものです。そんな時、パンツェロッティは最高のパートナーになります。包み紙で保護されているため手が汚れにくく、立食スタイルが基本のミラノの街歩きに最適化されています。
また、パンツェロッティは冷めても美味しいですが、やはりその真価は熱いうちにあります。ミラノの街角には、パンツェロッティを売る小さなお店が点在しており、それぞれの店が独自の工夫を凝らしています。競技会場となるアイスリンクやスタジアムの周辺でも、こうした軽食を提供する屋台が登場することが予想されるため、見つけたらぜひ試してみてください。
腹持ちが良いのも嬉しいポイントです。ピザ生地の炭水化物とチーズのタンパク質がしっかり含まれているため、一個食べるだけでかなりの満足感を得られます。寒い中での観戦は意外と体力を消耗しますので、こうした高エネルギーで温かい食事を効率よく摂ることは、最後まで元気にオリンピックを楽しむための「鍵」となります。ミラノのエネルギーを食からも取り入れていきましょう。
ミラノ中心部では、パンツェロッティを持って歩く人々をよく見かけますが、歴史的建造物の周りなどでは飲食が制限されているエリアもあります。周囲の看板やマナーを確認し、指定された場所や公園のベンチなどでゆっくり楽しむのが、スマートなイタリア流の過ごし方です。
2. 山岳地帯で食べたい「シャット(Sciatt)」とそば粉グルメ

冬のオリンピックの主要舞台となるアルプス山脈の麓、ヴァルテッリーナ地方には、他のイタリア料理とは一線を画す独特の食文化があります。その代表格が「シャット」と呼ばれる料理です。これは、現地の言葉で「ヒキガエル」を意味する面白い名前の料理ですが、その正体はそば粉を使った絶品のチーズ揚げボールです。
蕎麦の香りとチーズが絶妙な揚げ物「シャット」
シャットは、小さく切った地元産のチーズ(主にヴァルテッリーナ・カゼーラ)を、そば粉を混ぜた生地で包んで揚げた料理です。北イタリアでは蕎麦の栽培が盛んで、独特のグレーがかった色合いと香ばしい風味の生地が特徴となっています。揚げたてのシャットを一口食べると、中から熱々のチーズが糸を引くように伸び、蕎麦の野性味あふれる香りと見事に調和します。
この料理は、一般的に生のチコリ(苦味のある葉野菜)の上に盛り付けられて提供されます。揚げ物の濃厚さと、シャキシャキとした野菜の苦味が口の中をさっぱりとさせてくれるため、いくらでも食べられてしまう中毒性があります。山岳地帯の冷え切った空気の中で食べる、揚げたてのシャットの美味しさは、まさに冬のイタリアを象徴する体験です。
もともとは農家の家庭料理として親しまれてきたものですが、現在ではスキーリゾートのレストランや屋台でも定番のメニューとなっています。特に雪上での競技観戦の後には、この塩気の効いた温かいスナックが最高のご馳走に感じられるはずです。名前の由来となった「ヒキガエル」のような、ゴツゴツとした無骨な見た目も、手作り感があって食欲をそそります。
北イタリアの冬を代表する「ピッツォッケリ」
シャットと同じく、そば粉を使った料理として絶対に外せないのが「ピッツォッケリ」です。これは、そば粉を主材料とした短く太いパスタで、キャベツやジャガイモ、たっぷりのチーズ、そして焦がしバターのソースで和えた、北イタリア最強のスタミナ料理です。食べ歩き用には、カップに入れて提供されることもあります。
冬の寒さが厳しいこの地域では、このようにカロリーが高く栄養価の高い料理が、人々の生活を支えてきました。そば粉特有の少しザラっとした食感と、ジャガイモのホクホク感、そしてバターとチーズの香りが混ざり合った味わいは、一度食べると忘れられない深みがあります。まさに「冬の味覚の王者」と呼ぶにふさわしい満足感を提供してくれます。
オリンピック期間中、コルティナやボルミオの街を歩けば、このピッツォッケリのいい香りがどこからともなく漂ってくるでしょう。地元の人々にとっては、冬にこれを食べないと始まらないと言われるほどの定番料理です。パスタ料理でありながら、どこか日本の「ほうとう」や「そば」にも通じる安心感があり、日本人の口にも非常に合うのが特徴です。
冬のオリンピック観戦に欠かせないエネルギー源
山岳地帯での競技観戦は、移動に傾斜があったり、雪の上を歩いたりと、想像以上に体力を使います。そんな時に、シャットやピッツォッケリのようなそば粉グルメは、持続的なエネルギーを供給してくれる優れた食事になります。そば粉は低GI食品としても知られており、腹持ちが良いのも観戦者にとって嬉しいメリットです。
また、こうした料理には地元の赤ワイン(ヴァルテッリーナ・スペリオーレなど)が非常によく合います。屋台などでも、プラスチックのカップに注がれた地元のワインと一緒にシャットを頬張る姿をよく見かけます。少しのアルコールと温かい食事は、寒さで強張った体をリラックスさせ、観戦のムードを一段と盛り上げてくれるでしょう。
イタリアのアルプスは、ただのスポーツの場ではなく、豊かな伝統と共存する特別な空間です。シャットのような郷土料理を味わうことは、その土地の歴史や文化を直接肌で感じることに他なりません。雪景色の中で、地元の人々と肩を並べて熱々の揚げ物を楽しむ。それこそが、冬季オリンピック観戦の真の楽しみ方と言えるかもしれません。
【ヴァルテッリーナ地方の主な開催地とグルメ】
・ボルミオ(アルペンスキー): シャットやピッツォッケリの本場。街中のいたるところで楽しめます。
・リヴィニョ(スノーボード・フリースタイル): 免税エリアとしても有名。温かい料理と共にショッピングも楽しめます。
・コルティナ・ダンペッツォ(女子アルペンスキーなど): 高級リゾート地でありながら、素朴な山の料理も充実しています。
3. ベネト州で見つける「チケッティ(Cicchetti)」の楽しみ方

今回のオリンピックのもう一つの主要エリアであるベネト州(コルティナ・ダンペッツォなど)には、ベネチア発祥のユニークな食習慣「チケッティ」があります。これは、小さなパンの上に様々な具材を乗せたオープンサンドや、一口サイズのおつまみの総称です。バルで立ち飲みをしながら楽しむ、イタリア版のタパスのような存在です。
立ち飲みバルでつまむ小皿料理の数々
イタリア語で「バカロ(Bacaro)」と呼ばれる大衆居酒屋では、カウンターに色とりどりのチケッティが並んでいます。お客さんは自分の好きなものを指差して注文し、その場でワインと一緒に楽しみます。食べ歩きというよりは「ハシゴ歩き」に近いスタイルですが、一口サイズなので観戦の合間に少しずつ多くの種類を味わうのに最適です。
定番の具材としては、タラのクリーム煮(バッカラ・マンテカート)や、サッルデ・イン・サオール(イワシの南蛮漬け)、生ハム、チーズ、ポルペッティ(ミートボール)などがあります。どれも工夫が凝らされており、見た目も華やかなので、選ぶ段階からワクワクが止まりません。特に海の幸が豊富なベネト州ならではの、新鮮な魚介を使ったチケッティは絶品です。
このスタイルの良いところは、短時間で食事が完結することです。椅子に座ってフルコースを食べる時間はないけれど、しっかりと美味しいものを食べたいという時に、バカロは最高の選択肢となります。現地の活気に混ざりながら、カウンター越しに今日行われた試合の話で盛り上がる。そんな体験ができるのも、チケッティ文化があるベネト州ならではの魅力です。
地元の泡「プロセッコ」との相性
チケッティを楽しむ上で欠かせないのが、ベネト州自慢のスパークリングワイン「プロセッコ」です。フルーティーで軽やかな口当たりのプロセッコは、どんなチケッティとも相性が良く、食欲を適度に刺激してくれます。現地では「オンブラ(Ombra)」と呼ばれる小さなグラスに注がれたワインを、チケッティのお供にするのがお約束です。
冬の冷たい空気の中でも、キリッと冷えたプロセッコは不思議と喉を心地よく通り、気分を明るくしてくれます。お酒が苦手な方には、イタリアの定番ドリンクである「スプリッツ」もおすすめですが、これもプロセッコがベースになっています。明るいオレンジ色のスプリッツと、彩り豊かなチケッティが並ぶ光景は、まさにイタリアの幸せな時間そのものです。
立ち飲みスタイルは足腰に負担がかかるかと思いきや、少しずつ違うお店を巡ることで、かえって街歩きの良い休憩になります。オリンピックというお祭りの期間中、地元のワインと美味しいおつまみで乾杯する時間は、旅の疲れを忘れさせてくれるでしょう。イタリア人のように、気取らず、陽気に「ちょっと一杯」を楽しむ精神をぜひ取り入れてみてください。
お気に入りの具材を見つける宝探しのような時間
チケッティのバリエーションは、お店の数だけ無限にあります。あるお店では伝統的なレシピを守り、別のお店ではフォアグラやトリュフを使った贅沢なアレンジを加えるなど、その多様性は驚くほどです。自分のお気に入りのお店や、最高の組み合わせの具材を見つけるのは、まるで宝探しのような楽しさがあります。
特に冬場は、温かい具材を乗せたチケッティや、スパイスを効かせた煮込み料理なども登場します。小さなパンの上に凝縮された、イタリアの美食の粋。それを一度に何種類も楽しめる贅沢は、他ではなかなか味わえません。一つ一つの値段も手頃なので、お財布を気にせずに色々な味に挑戦できるのも嬉しいところです。
オリンピック期間中、コルティナ・ダンペッツォの街中にあるバーやカフェでも、こうしたチケッティを楽しむことができるでしょう。雪山の中の洗練された街並みで、小さな贅沢を楽しむ。スポーツの興奮と、美食の満足感。その両方を満たしてくれるチケッティは、ベネト州を訪れるなら必ず体験すべき食文化の一つです。お気に入りを見つけて、ぜひ写真にも収めておきましょう。
| 代表的なチケッティの種類 | 特徴・味わい |
|---|---|
| バッカラ・マンテカート | 干しダラをクリーム状にしたもの。濃厚でクリーミーな味わい。 |
| サッルデ・イン・サオール | イワシのマリネ。甘酸っぱい味付けが食欲をそそります。 |
| ポルペッティ | イタリア風ミートボール。一口サイズで食べやすく子供にも人気。 |
| フォルマッジォ | 地元のチーズを乗せたもの。蜂蜜やジャムとの組み合わせも。 |
4. 体の芯から温まる「ボンバルディーノ」と甘い誘惑

冬のイタリア、特にアルプスのスキーリゾートで最も愛されている飲み物といえば「ボンバルディーノ」です。その名は「爆弾」を意味するイタリア語に由来しており、一口飲めばエネルギーが爆発するように全身が温まることから名付けられました。飲み物というよりは、もはや「飲むスイーツ」に近い満足感があります。
スキーリゾートの定番ドリンク「ボンバルディーノ」
ボンバルディーノは、卵のリキュール(VOV)、ブランデー、そしてたっぷりのホイップクリームで作られる温かいカクテルです。鮮やかな黄色い液体の上に、真っ白なクリームが乗った見た目は非常に可愛らしいですが、アルコール度数はしっかり高く、一口飲むと喉元からカッと熱くなるのがわかります。
このドリンクは、冬のオリンピック会場のような極寒の環境に最適です。スキーヤーやスノーボーダーが休憩中にこれを飲み、再び雪山へ戻っていく光景はイタリアではお馴染みです。クリーミーな甘さとアルコールの刺激が、冷え切った体を瞬時に解きほぐし、幸福感を与えてくれます。シナモンを振りかけたり、コーヒーを加えた「カルボ(Calbo)」というバリエーションもあります。
食べ歩きをしながら、この小さなカップを持って歩くのも粋なものです。ただし、かなり甘くて強いため、飲み過ぎには注意が必要です。競技観戦で声を出して応援した後、冷えた体にこの「爆弾」を流し込む。そんなイタリア流の防寒対策をぜひ試してみてください。雪景色をバックに、ホイップクリームたっぷりのボンバルディーノを構える写真は、SNS映えも間違いなしです。
イタリアの冬に欠かせない濃厚ホットチョコレート
アルコールが苦手な方、あるいはお子様連れの方にとって、冬のイタリアの最強ドリンクは「チョコラータ・カルダ(ホットチョコレート)」です。日本のサラサラとしたココアを想像していると、その濃密さに驚くかもしれません。イタリアのホットチョコレートは、まるで溶かしたチョコレートをそのまま飲んでいるかのような、スプーンが立つほど濃厚なものが一般的です。
ミラノの老舗カフェなどで提供されるチョコラータ・カルダは、カカオの香りが高く、一口ごとに深い癒しを与えてくれます。これに「パンナ(ホイップクリーム)」を追加するのがイタリア流。冷たいクリームと熱々のチョコレートを混ぜながら食べると、最高のデザートになります。まさに、寒さに耐えるためのご褒美のような存在です。
食べ歩き用としてテイクアウトカップで提供してくれるお店も多いので、観戦のお供に持ち歩くのにぴったりです。高密度のチョコレートは、冷めにくいというメリットもあります。寒い屋外で震えながら飲む、温かくて甘い一杯。それは単なる飲み物以上の、心強いサポーターになってくれることでしょう。甘党の方なら、イタリア中のホットチョコレートを飲み比べて歩くのも楽しいかもしれません。
伝統的なお菓子「パネットーネ」を本場ミラノで
冬のイタリア、特にミラノで開催されるオリンピック期間中は、クリスマスから年始にかけての伝統菓子「パネットーネ」を外すわけにはいきません。ドライフルーツがたっぷり入ったこのドーム型の発酵菓子は、ミラノが発祥の地です。本来は家族で切り分けて食べるものですが、最近ではカットされたものや、食べ歩き用のミニサイズも人気です。
パネットーネは、何日もかけてじっくりと発酵させた生地の、しっとりとした柔らかさが命です。一口食べると、オレンジピールやレーズンの爽やかな香りが広がり、優しい甘みが後を引きます。ミラノの街中では、有名シェフが手掛ける高級パネットーネから、地元で愛されるパン屋さんの素朴な一品まで、多種多様なパネットーネに出会うことができます。
冬のオリンピック観戦の時期は、ちょうどパネットーネが一番美味しく、どこでも手に入る時期です。一切れずつラッピングされたものを購入して、移動中の軽食にするのもおすすめです。イタリアの冬の文化そのものを味わうような、この贅沢なお菓子。ミラノの街を歩きながら、本場のパネットーネを頬張る時間は、格別の思い出になるはずです。
5. ピザの切り売り「ピッツァ・アル・タリオ」の万能感

イタリア全国どこへ行っても、そしてどんな時でも私たちの味方でいてくれるのが、ピザの切り売り「ピッツァ・アル・タリオ」です。四角い大きなトレイで焼かれたピザを、自分の好きな分だけカットして買えるスタイルは、イタリアのストリートフードの王道です。忙しい試合スケジュールの合間に、手っ取り早く、かつ確実に美味しいものを食べたいならこれ以上の選択肢はありません。
好きな分だけカットして味わうイタリアンスタイル
ピッツァ・アル・タリオの最大の利点は、その自由度にあります。「これをこれくらい(10センチくらい、など)」と指定すると、店員さんがハサミやナイフでカットし、重さを量って値段が決まります。少しずついろいろな種類を食べたいときや、がっつりお腹を満たしたいとき、その時の気分に合わせて量を調整できるのが非常に便利です。
お店のカウンターには、常に何種類ものピザが並んでいます。定番のマルゲリータはもちろん、ポテトとローズマリー、生ハムとルッコラ、季節の野菜がどっさり乗ったものなど、選ぶ楽しみが尽きません。注文するとその場でオーブンに入れ直してくれるので、常に熱々の状態で受け取ることができます。二つ折りにした紙に挟んで渡されるので、そのまま歩きながら食べられるのも魅力です。
特にイタリアのピッツァ・アル・タリオは、生地の裏側が揚げたようにカリッとしていて、上部はふんわりモチモチしているのが特徴です。この食感の良さは、冷えた体でもパクパクと進んでしまう魔法のようです。観光客だけでなく地元のビジネスマンも列に並ぶ、イタリア人の生活に完全に溶け込んだグルメと言えます。街中で「Pizzeria」の看板を見つけたら、まずはのぞいてみましょう。
地域ごとのトッピングの違いを楽しむ
イタリアは地域によって食材が大きく異なるため、ピッツァ・アル・タリオのトッピングにもその土地の個性が強く出ます。ミラノでは、地元のサラミやゴルゴンゾーラチーズを使った濃厚な組み合わせが人気です。一方、山岳地帯へ行くと、キノコやジビエのソーセージ、山のチーズをたっぷり使った、力強い味わいのピザが登場します。
こうした「ご当地ピザ」を探して歩くのも、移動の多いオリンピック観戦の楽しみの一つです。同じマルゲリータであっても、使われているトマトの酸味やモッツァレラチーズのコクが微妙に異なり、イタリアの食の多様性を実感することができます。また、冬場はアーティチョークやカボチャなど、季節の野菜を使ったピザも登場し、彩りも鮮やかです。
生地自体にもこだわりがあり、長時間発酵させた軽い食感のものや、全粒粉を使った香ばしいものなど、お店ごとの個性が光ります。お気に入りの一枚を見つけたら、ぜひそのお店の名前を覚えておきましょう。イタリアの旅は、自分だけの「お気に入りリスト」を作る旅でもあります。手軽な切り売りピザを通じて、イタリアの奥深さを味わってみてください。
忙しい試合スケジュールの強い味方
冬季オリンピックの期間中は、朝から晩まで様々な会場で競技が行われます。移動時間を考えると、レストランで注文して料理が出てくるのを待つ余裕がないことも多いでしょう。そんなとき、注文して3分後には手にしているピッツァ・アル・タリオは、まさに観戦者の「救世主」とも呼べる存在です(※「救世主」という比喩は避けたいところですが、非常に役立つという意味で)。
駅の構内や、バス停の近くなど、移動の要所には必ずと言っていいほどこの切り売りピザ屋があります。温かいピザは、持ち歩いている間も手のひらを温めてくれるカイロのような役割も果たしてくれます。そして何より、冷たい風の中で食べる焼き立てのピザの味は、どんな高級料理よりも心に染みるものです。
また、値段が非常にリーズナブルなのも魅力です。オリンピック期間中の観光地はどうしても物価が上がり気味ですが、ピッツァ・アル・タリオなら数百円程度で満足感のある食事ができます。浮いた時間とお金で、もう一つ競技を見に行ったり、お土産を買ったりと、旅の選択肢が広がります。スマートに、そしてタフにオリンピックを楽しむなら、このイタリアンスタイルをマスターしておいて損はありません。
ピッツァ・アル・タリオを注文するときは、指で大きさを伝えるだけでなく、「Eto(エト)」という単位を知っておくと便利です。100gが1エト(Un etto)です。一般的に1人前は2エトくらいが目安ですので、注文の参考にしてみてください。
イタリア 冬 オリンピックと食べ歩きグルメで最高の思い出作り
イタリアで開催される2026年ミラノ・コルティナ冬季オリンピック。世界最高峰のアスリートたちの競演を目の当たりにできるだけでなく、美食の国イタリアならではの素晴らしいグルメ体験が私たちを待っています。冬の冷たい空気の中で味わう、温かくて情熱的な料理の数々は、観戦の思い出をより色鮮やかに彩ってくれることでしょう。
今回ご紹介した5つのグルメを振り返ってみましょう。ミラノの街角で頬張る熱々の「パンツェロッティ」、山岳地帯の伝統が詰まったそば粉の揚げ物「シャット」、ベネト州のバルを巡りながら楽しむ小皿料理「チケッティ」、全身を瞬時に温めてくれる魔法のドリンク「ボンバルディーノ」、そして忙しい観戦の合間にいつでも寄り添ってくれる「ピッツァ・アル・タリオ」。どれもイタリアの冬を象徴する、魅力的なラインナップです。
スポーツ観戦の醍醐味は、会場の熱狂を共有することだけではありません。その土地の空気を吸い、その土地の食べ物を味わうことで、その国そのものを深く知ることができます。イタリアのストリートフードは、ただお腹を満たすためだけのものではなく、人々を笑顔にし、会話を弾ませる力を持っています。屋台の店主との触れ合いや、隣り合わせた観客との乾杯も、旅の大切な一ページになるはずです。
厳しい冬の寒さも、美味しいグルメがあれば楽しいイベントに変わります。これから観戦の準備をされる方は、ぜひ競技のスケジュールだけでなく、現地の「食べ歩きリスト」も一緒に作成してみてください。事前に情報を仕入れておくことで、限られた時間の中でも効率よく絶品料理に出会うことができます。イタリアの誇る美食と、冬季オリンピックの感動。その両方を胸いっぱいに詰め込んだ、最高の旅を楽しんでくださいね!



