氷上のプロフェッショナルたちが時速60キロメートルを超える速さで駆け抜けるスピードスケート。テレビで見るのも良いですが、会場に足を運んで感じる氷を切る音や風の冷たさは格別な体験になります。しかし、いざチケットを買おうとすると、どこで見ればいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
スピードスケートのリンクは1周400メートルと非常に広く、座る場所によってレースの印象が大きく変わります。この記事では、スピードスケート観戦で座席のおすすめ位置を、目的や楽しみたいポイントに合わせて詳しくご紹介します。初めて観戦する方も、この記事を読めば最高の席選びができるようになるでしょう。
スピードスケート観戦で座席のおすすめ位置を選ぶための基礎知識

スピードスケートの会場は、一般的な体育館や野球場とは構造が大きく異なります。まずは、リンクの形状やエリアの名称を理解しておくことが、納得のいく座席選びへの第一歩です。400メートルのダブルトラックという広大な舞台をどう捉えるかがポイントになります。
リンクの全体構造とエリアごとの特徴
スピードスケートが行われる標準的なリンクは、1周400メートルの楕円形をしています。内側と外側に2つのコースがある「ダブルトラック」方式が一般的で、選手は1周ごとに内と外を入れ替わりながら滑ります。この入れ替わる場所を「バックストレート」にある交差区域(クロッシングゾーン)と呼びます。
観客席は主に、メインストレート側、バックストレート側、そして2つのコーナー(カーブ)側に分かれています。メインストレートにはスタート地点とフィニッシュ地点があり、最も華やかなエリアです。一方、バックストレートは選手の加速や入れ替えが見られる実力重視のエリアといえます。
コーナー部分は、選手が大きな遠心力に耐えながら滑る場所で、技術的な見どころが凝縮されています。このように、エリアごとに「何が見えるか」が明確に分かれているのがスピードスケートの特徴です。自分が何を一番見たいのかをイメージしながら席を選んでいきましょう。
メインスタンドとバックストレートの違い
メインスタンド(メインストレート側)は、大会の運営本部や実況席が設置される場所であり、会場の中心といえます。選手の紹介やスタートの緊張感、そして最後のゴールインの瞬間を正面から見ることができます。大型ビジョンも見やすい位置に配置されることが多く、初心者の方に最もおすすめのエリアです。
一方でバックストレート側は、メインスタンドの反対側に位置します。ここはメイン側に比べて観客が少なめになる傾向があり、落ち着いて観戦したい方に適しています。また、バックストレートは選手が最もスピードに乗る区間でもあるため、滑走の勢いを間近で感じられるというメリットもあります。
バックストレート側からは、メインスタンド側の様子を一望できるため、会場全体の盛り上がりを俯瞰して楽しむことができます。メイン側が満席の場合や、少し静かに競技に集中したい場合は、バックストレート側を選択肢に入れると良いでしょう。視界を遮るものが少なく、写真撮影がしやすい場合も多いです。
チケット購入前に確認したい座席ランクの種類
多くのスピードスケート大会では、座席がランク分けされて販売されます。一般的には「指定席(SS席・S席・A席など)」と「自由席」の2種類です。指定席はリンクに近い下段や、フィニッシュライン正面などの「特等席」に設定されていることが多く、ゆったりと場所を確保できます。
自由席は比較的上段やコーナー付近に設定されることが多く、価格がリーズナブルなのが魅力です。上段の席はリンク全体を見渡せるため、選手が今どの位置にいるのかを把握しやすく、レース展開を追いやすいという意外なメリットがあります。予算と見え方のバランスを考えて選ぶのがコツです。
ゴール付近のメインスタンドが人気の理由

スピードスケート観戦において、最も人気が高いのは間違いなくフィニッシュライン付近のメインスタンドです。テレビ中継でよく見るアングルであり、競技のドラマが完結する場所だからです。迷ったらここを選べば間違いないという、王道の座席位置について掘り下げていきましょう。
歓喜の瞬間を間近で見られるフィニッシュライン
スピードスケートは、1000分の1秒を争う極めてシビアなスポーツです。フィニッシュライン付近の座席では、選手が最後の力を振り絞ってゴール板を駆け抜ける瞬間を目の当たりにできます。電光掲示板にタイムが表示され、順位が決まった瞬間のスタジアムの熱狂は、現地でしか味わえない感動です。
特に僅差のレースでは、どちらが先に刃(ブレード)を突き出したかという手に汗握るシーンを自分の目で見届けることができます。ゴールした直後に選手がガッツポーズをしたり、逆に悔しさで肩を落としたりする人間味あふれる表情が見られるのも、この位置ならではの特権といえるでしょう。
また、500メートルなどの短距離種目では、メインストレート側がスタート地点にもなります。ピストルの音とともに一気に加速する爆発力を間近で体感できるため、短距離から長距離まで、すべての種目において見応えがあるのがメインスタンドの最大の強みです。
選手の表情やコーチとのやり取りを観察
メインスタンドの低い位置(リンクに近い席)に座ると、選手の細かな表情まで観察することができます。レース前の集中した眼差しや、呼吸を整える様子、滑走中の必死な形相など、アスリートの気迫がダイレクトに伝わってきます。これは遠くの席やテレビ画面ではなかなか感じ取れない要素です。
さらに、メインストレート側には各チームのコーチ陣が待機しています。滑走中の選手に対して、手信号や大きな声でラップタイムを伝えたり、励ましたりする様子が見られます。選手とコーチが二人三脚で戦っている姿を観察するのも、通な楽しみ方のひとつです。
レース終了後、選手がリンクから上がってくる際のやり取りや、メディアの取材を受けている様子が見えることもあります。憧れの選手がいる場合は、メインスタンド側を確保することで、その一挙手一投足を追いかけやすくなるはずです。
表彰式や大型ビジョンが見やすいメリット
多くの大会では、レースの合間や終了後にリンク中央やメインスタンド前で表彰式が行われます。メインスタンドに座っていれば、メダル授与の瞬間を正面からお祝いすることができます。選手の晴れ舞台を写真に収めたい場合も、このエリアが最も撮影に適しています。
また、現代のスポーツ観戦に欠かせないのが大型ビジョンです。リプレイ映像や詳細なデータ、他会場の状況などが映し出されます。メインスタンドはこれらのビジョンを正対して見られるように設計されていることが多いため、情報を逃さずに観戦を進めることができます。
「まずは王道の楽しみ方を知りたい」という初心者の方は、メインスタンドのフィニッシュライン寄りを選ぶのが最もおすすめです。全体の流れが把握しやすく、会場の盛り上がりにも自然と溶け込めるため、満足度の高い休日を過ごせること間違いありません。
メインスタンド観戦のチェックポイント
・フィニッシュライン正面は最も倍率が高いので早めの予約を推奨
・選手の入場シーンや退場シーンが近くで見られることが多い
・実況や解説の音声が聞こえやすく、レース状況を理解しやすい
コーナー付近の座席で味わうスピードスケートの醍醐味

スピードスケートの真のすごさは、直線よりもカーブに現れるといっても過言ではありません。時速60キロメートルで円を描くように滑る技術は、まさに芸術的です。コーナー付近の座席は、そんなスピードスケートの技術的な側面を堪能したい方に最適なポジションです。
遠心力に耐える選手の超人的な技術を体感
スピードスケートの選手がコーナーを曲がる際、体は驚くほど深く内側に傾きます。この「傾き」を最もよく観察できるのが、コーナー(カーブ)の入り口から出口にかけての座席です。氷に対して鋭い角度で刃を立て、遠心力に抗いながら加速していく姿は圧巻の一言です。
コーナー席では、選手が右足を左足の前にクロスさせて滑る「クロスステップ」という技術を間近で見ることができます。一歩間違えれば転倒しかねないスピードの中で、正確に足を運び続ける集中力には脱帽します。この迫力は、直線コースでは味わえないコーナー席独自の魅力です。
また、コーナーの角度によって、選手が受ける負荷の大きさが伝わってくるのも面白いポイントです。レースの後半、疲労が溜まってきた選手がどれだけコーナーで粘れるか。その踏ん張りが勝敗を分ける決定打になることも少なくありません。
氷を削る「音」がダイレクトに響く臨場感
スピードスケートの魅力の一つに「音」があります。静まり返った会場に響く、シュッ、シュッという氷を削る鋭い音です。特にコーナーでは、氷に大きな圧力がかかるため、氷が削れる音がより一層大きく、力強く響き渡ります。
コーナー付近の低い座席に座っていると、選手が目の前を通過するたびに氷の破片が飛んでくるような錯覚に陥るほどの近さを感じられます。空気を切り裂く風の音と、エッジが氷を掴む金属音。このオーケストラのような響きは、現地観戦ならではの贅沢な体験です。
音に集中して観戦していると、好調な選手ほどリズムの良い、澄んだ音をさせていることに気づくかもしれません。視覚だけでなく聴覚でも競技を楽しめるのが、コーナー席の隠れたメリットといえるでしょう。
追い抜きのドラマが生まれやすい勝負どころ
スピードスケートは2人1組で滑りますが、特に長距離種目では相手を周回遅れにする「追い抜き」が発生することがあります。また、パシュート(団体追い抜き)やマススタート(一斉スタート)といった種目では、コーナーでの位置取りや仕掛けが勝敗に直結します。
コーナーは、インコースとアウトコースの差が最も顕著に出る場所です。選手同士が交差する瞬間の駆け引きや、相手の背後にピタリとついて風除けにする「ドラフティング」という技術も、コーナー席からなら立体的に捉えることができます。
技術的な駆け引きや、スピードの物理的な凄みを肌で感じたいなら、コーナー付近の座席がおすすめです。ここは写真愛好家にとっても、選手が最も躍動するカットが撮れる場所として知られています。躍動感あふれる観戦をぜひ楽しんでください。
コーナー付近は「第1コーナーから第2コーナー(スタート直後)」と「第3コーナーから第4コーナー(ゴール直前)」の2箇所あります。ラストスパートの激しい攻防を見たいなら、第4コーナー付近を選ぶのが良いでしょう。
バックストレート側でじっくり戦術を分析する楽しみ

華やかなメインスタンドの陰に隠れがちですが、バックストレート側の座席には、玄人好みの深い楽しみ方があります。レースの構成や選手の戦略をじっくりと観察したいという方にとって、ここは最高の分析シートになるはずです。
ラップタイムの安定性をチェックする通な見方
スピードスケート、特に3000メートルや5000メートルといった長距離種目では、いかに一定のペース(ラップタイム)を刻み続けられるかが重要です。バックストレートは、選手が呼吸を整え、次のコーナーに向けてフォームを修正する「調整の場」としての側面があります。
バック側から選手を見ていると、疲れが見え始めた際の上半身の揺れや、ピッチの変化がよく分かります。安定したラップを刻む選手の、無駄のないマシーンのような動きは感動的ですらあります。時計を片手に、自分なりにラップタイムを計測しながら観戦するのも楽しいでしょう。
また、バックストレートにある「クロッシングゾーン」は、インコースとアウトコースの選手が入れ替わる重要なポイントです。ここでどちらが先に前に出るか、衝突を避けるためにどのような判断をするかといった、瞬時の戦略を観察できるのはバックストレート側ならではの特権です。
選手との距離が意外と近い穴場スポット
バックストレート側の観客席は、リンクとの距離が非常に近く設計されている会場が多いです。メインスタンドは実況席や機材のために距離が空くことがありますが、バック側はフェンスのすぐ向こうを選手が時速60キロメートルで通過していく感覚を味わえます。
選手が加速し、最も速度が上がった状態で目の前を通り過ぎる瞬間の「風」をぜひ感じてみてください。その速度感に、初めての方は間違いなく驚くはずです。メインスタンドのような華やかさはありませんが、競技の本質的なすごさを身近に感じられるエリアといえます。
また、観客が比較的少ないため、視界を遮るものが少なく、広々とした視界を確保しやすいのもメリットです。周りを気にせず、双眼鏡を使って選手のブレードの運びや筋肉の動きをじっくり観察したい方には、これ以上ない環境といえるでしょう。
混雑を避けて落ち着いて観戦したい人向け
大きな大会になると、メインスタンドは非常に混雑し、移動するのも一苦労ということがあります。一方、バックストレート側は比較的余裕があることが多く、自分のペースで観戦を楽しめます。小さなお子様連れや、静かに競技に集中したいシニア世代の方にも優しいエリアです。
休憩時間や製氷作業(リンクを整える時間)の間も、ゆったりと過ごせるのが魅力です。会場によっては、バックストレート側の方が飲食ブースやトイレに近い場合もあり、利便性の面で見逃せません。混雑によるストレスを最小限に抑えたい方は、あえてこちらを選んでみてはいかがでしょうか。
バックストレート側の座席は、スピードスケートの戦術的な深みを知りたい方や、快適な観戦環境を求める方にぴったりです。メインスタンドでの観戦を経験したことがある方が、2回目に選ぶ席としても非常におすすめできます。
初めての現地観戦を120%楽しむための準備とコツ

座席のおすすめ位置が決まったら、次は当日の準備です。スピードスケートの会場は特殊な環境なため、事前の準備が観戦の質を左右します。せっかくの良い席を最大限に活かすために、押さえておきたいポイントをまとめました。
リンク内の気温対策とおすすめの服装
スピードスケートのリンクは、氷を最適な状態に保つため、室温が常に低く管理されています。屋内リンクであっても、気温は10度前後、場合によってはそれ以下になることもあります。これは冬の屋外と変わらない寒さです。「室内だから大丈夫」と油断するのは禁物です。
基本は「重ね着(レイヤリング)」です。脱ぎ着しやすいダウンジャケットやフリース、そして忘れがちなのが下半身の防寒です。厚手の靴下や、タイツを履いていくことを強くおすすめします。また、長時間座っていると冷えが伝わってくるため、携帯用のクッションやひざ掛けがあると非常に重宝します。
手袋やニット帽もあると安心です。特にコーナー席やバックストレート側は、選手が通過するたびに冷たい風が巻き起こることがあります。万全の防寒対策をしていくことが、最後まで集中して楽しく観戦するための最大のコツといえます。
双眼鏡やクッションなど持参すべき便利グッズ
スピードスケート観戦をより深く楽しむために、持参したいアイテムがいくつかあります。まずは双眼鏡です。400メートルリンクは思いのほか広いため、反対側のストレートにいる選手を詳しく見るためには、8倍から10倍程度の双眼鏡があると非常に便利です。
次に、先ほども触れた座布団(クッション)です。会場の椅子は硬いプラスチックやコンクリートであることが多く、冷えだけでなくお尻の痛みも防いでくれます。100円ショップで売っている折り畳み式のもので十分ですので、ぜひカバンに忍ばせておいてください。
また、選手名鑑や大会プログラムもあると良いでしょう。スピードスケートは似たフォームの選手が多いため、ウェアの色やゼッケン番号で誰かを判別する際に役立ちます。最近ではスマートフォンのアプリでリアルタイムのラップタイムを確認できるサービスもあるので、モバイルバッテリーも忘れずに持参しましょう。
公式プログラムやSNSを活用した情報収集
現地に到着したら、まずは公式プログラムを入手しましょう。その日のレーススケジュールや、注目の選手紹介が掲載されています。また、会場内の掲示板には、滑走順(スタートリスト)が貼り出されます。誰と誰が対戦するのかを事前に知ることで、レースの期待感が高まります。
最近の大会では、X(旧Twitter)などのSNSで公式アカウントがリアルタイム情報を発信していることも多いです。「#スピードスケート」などのハッシュタグで検索すれば、他の観客からの情報や、会場のグルメ情報なども手に入るかもしれません。
| 持参アイテム | おすすめの理由 |
|---|---|
| 厚手のクッション | 座席の冷えと硬さを解消し、長時間の観戦を楽にするため。 |
| 双眼鏡 | 広いリンクのどこにいても選手の表情やフォームを確認するため。 |
| カイロ(貼るタイプ) | 腰や足元を温めることで、全身の冷え込みを抑えるため。 |
| モバイルバッテリー | 速報サイトのチェックや写真撮影で電池を消費しやすいため。 |
スピードスケート観戦でおすすめの座席位置まとめ
スピードスケートの観戦は、どの座席を選ぶかによって、得られる感動や発見の種類が大きく変わります。自分の観戦スタイルや目的に合わせて最適な場所を選ぶことが、現地での時間を最高のものにする秘訣です。あらためて、今回ご紹介したおすすめ位置のポイントを振り返ってみましょう。
まず、初めての方や、最も劇的な瞬間を見逃したくない方は「メインスタンドのフィニッシュライン付近」が間違いありません。スタートの緊張感からゴールの歓喜、そして表彰式まで、スピードスケートの華やかな部分をすべて凝縮して楽しむことができます。迷ったら、まずはこのエリアのチケットを探してみるのが正解です。
次に、選手の超人的な技術や、氷を削る迫力の音を体感したい方は「コーナー(カーブ)付近の座席」を選んでみてください。時速60キロメートルで体が倒れ込むほどの深い傾きや、力強いエッジワークを間近で見られるのは、この場所だけの特権です。写真撮影を楽しみたい方にとっても、躍動感のあるカットが狙える絶好のスポットとなります。
そして、落ち着いてじっくりと戦術を分析したい、あるいは混雑を避けて快適に過ごしたいという方は「バックストレート側」がおすすめです。選手との距離が意外と近く、その速度感や風をダイレクトに感じることができます。ラップタイムを計りながら、自分なりの見方で競技を深掘りする楽しみ方は、まさに「通」の観戦スタイルといえるでしょう。
どの席に座るにしても、忘れてはならないのが「防寒対策」です。氷の上の格闘技を心ゆくまで楽しむために、温かい服装とクッションを準備して、万全の状態で会場へ向かってください。テレビの画面越しでは伝わらない、氷を切る音や会場の熱気を肌で感じることで、きっとスピードスケートの虜になるはずです。あなたにとって最高の座席で、素晴らしい観戦体験を楽しんでください。



